社内WEB担当者の選び方
果たしてその人選合ってますか?
ホームページ制作を依頼され、打ち合わせのためにクライアントの元に訪れると、WEB担当者になられた方をご紹介されることがあります。かなりの割合でご紹介されるのは年齢の若い方。若い方だからダメだということはありませんが、選任された理由が一番インターネットとパソコンに詳しいからという理由であったりします。
個人商店や中小零細企業では専任のWEB担当者やWEBマーケティング部を設けることが難しく、現実問題として事務であったり、販売であったりする方が掛け持ちでWEB担当者になることが殆どです。制作会社とデータの送受信をするだけであればネットやPCに詳しい方に任せた方が進行もスムーズです。
しかしながら、ホームページを通じて集客をしようというのであればそれは疑問です。ホームページというのはいわばインターネット上に自社の支店や営業所を作るということです。実際に新しく駅の近くに支店を出すとします、その場合、その新しいお店の責任者を若いというだけで店長にするようなことってあるのでしょうか。もちろん、会社によっては旧態依然の年功序列にこだわらず、やる気のある若手を抜擢するということもあるでしょう。事実、若いからダメと言っているのではありません。若くても立派な働きをする人はいくらでもいらっしゃいます。
ホームページを制作すると、残念なことではございますが、上手に集客が出来る会社(店舗)とそうでない会社(店舗)に分かれます。主たる事業が元請けからの受注であったり、或いは入札による公共事業が殆どで、ホームページはカタログ替わりにあればよいという場合は別ですが、これからの時代はインターネットによる集客が重要だと考え、ホームページにも力を入れてみたものの・・・、まったく問い合わせがない。
ホームページ営業が失敗するケース
中小零細企業では社長がホームページやインターネットについてあまり詳しくなく、事務員に制作を丸投げというのが結構な割合として挙げられます。しかもその担当者である事務員さんも正社員ではなくパート従業員であり、たまたまエクセルやワードが得意というだけで選任されています。
あえて厳しいことをいうと、正社員に比べてパートやアルバイトのスタッフというのは責任感が欠如していることが多くみられます。もちろんパート従業員の中にも仕事に対して正社員以上に前向きで、そこから正社員として抜擢されたというケースもあるでしょうが、大半は文字通り、パート(部分的)として働けばいいという方が殆どです。裏を返すと、パートの私に押し付けられてもという気持ちがまったくないかといえば恐らく内心不満を憶えている方も結構いらっしゃるのではないかと思います。
WEB制作会社への情報伝達要員としてパート従業員を担当者にすることそれ自体はまったく問題ありません。画像や掲載する文章や表などを送って下されるのはやはりある程度PCやインターネットに長けている方の方がスムーズです。問題は社長の「俺はよく分からないから」というそれだけの理由でホームページ関連の責任をそのパート従業員の方にすべて押し付けてしまっていることが結構あります。ある時までマメにプログや新着情報を更新されていたのに突然パタリと止まってしまい、不思議に思い、その会社に連絡を取るとパート従業員の方は辞めてしまったということが決して少なくありません。余談ですが後学のためその辞めてしまった方と直接オフレコでお話をしてみますと、無理難題を押し付けられて私にはやってられなくなったということが少なからずあります。
事務職として入社した方からすれば営業の現場で実際どんなことが起きているのかはあまり分かりません。飲食店などでも厨房やホールに出る方と、事務所で経理や食材の発注をしている方とでは営業に関する温度差がまったく違います。
それなのに、「〇〇さん、ホームページの原稿作っておいて」、そう言われたところでいったいなにをすればいいのか分かりません。仕方なく、同業他社のホームページを見て、通り一遍のありきたりな文章を考えてホームページに掲載するしかなく、その結果なんの魅力もないホームページが出来上がります。
これはいったい誰が悪いのでしょうか。あえて言いますが、社長です。営業の現場や店頭に立たない事務のパートさんに、熱気溢れるホームページを作れというのは土台無理な話です。また、下手に話を盛ってしまいお客様はもちろんのこと、営業スタッフやホールスタッフに、「うちではそんなサービスをしていない」と、クレームを入れられても困ります。
WEBサイトの担当者は会社のキーパーソンが担うべき
- 自社(自店)の目指すべき方向性やビジョンが語れる
- 自社(自店)の業務を一通り把握している自社の強み&弱み、現在抱えている課題を的確に理解している
- 営業に関する指針を示せる立場
- 自社(自店)の代表者とした発言ができ、その発言に責任を持てる
このような人材がホームページ集客を行う上で最適な人材です。
別にパートの事務員さんを揶揄するつもりは毛頭ありませんが御社で雇用しているその事務員さんは果たして上記に当てはまりますか?もちろん、中小零細企業では社長のお嬢さんがパートの事務員として働いているというケースもあり、実際そういう事務員さんの場合は立場こそパート従業員であるが会社をよくしようという思いは人一倍強いのでキーパーソンになれ得ます。
確かに、コロナ禍の影響もあり、人員は最低限度で廻しているというのが殆どの企業であると思われます。当然、そういった状況下で責任のある営業マンや現場責任者である店長がWEBスタッフになるのはなかなか時間的な制約もあり厳しいものがあるのも重々承知はしています。
だからこそ、中小企業であれば社長を交えてホームページの運営を考えてみるということが大切になってきます。現場の忌憚なき意見を提出してもらい、その意見を集約してまとめる、そしてまとめた意見をスタッフ全員で見直し、問題がないかをチェックすることが肝要です。出された意見をまとめるのであればパートのスタッフでも可能だと思います。
要はなんとなく若くてネットに得意そうだからという理由だけで、自社の営業についてよく分かっていないパートの事務員スタッフに背負わせることはそもそも無理があるということです。インターネットというバーチャルな空間の中であったとしても一つの支店を作るのですから当然、携わる人は皆責任を持って業務を遂行する必要があります。その責任の所在を年配者の苦手意識やパソコン恐怖症から逃れられるための理由だけで突如ホームページの担当者された事務員さんに向けるのはあまりにも酷だと思います。
ホームページの運営は「ついで」ではなく通常業務に
ホームページによる集客がうまくいっている企業は必ずホームページに対して時間を割き、いったいなにをすべきかということについてのミーティングを大切にしています。
ホームページに限らず、ブログやSNSなどのオウンドメディアもそうですが、インターネットで出来る集客をすべて包括的に考え、こういう運営をしていこうと社内で会議を開いていらっしゃいます。そのうえで、当然、間違いを起こしてしまうこともあり、気合を入れて、コンテンツやイベントを考えたけれどもあまり意味がなかったということも現実問題としてあります、語弊があるかもしれまんがそれは正しい誤りです。こういう企画は消費者の心に響かないというエビデンスが出来ただけでも会社の財産です。
ホームページ運営は担当者個人のものではない
- 更新ガイドラインの策定や承認体制の構築(決して担当者ひとりに責任を押し付けない)
- 連絡体制を確立して、タイムリーに情報を伝達できるようにする
- 担当者の退社や病欠でも運営に支障がでないようマニュアルの策定
- マルウエア対策やWEBサイトの改ざんに備えてセキュリティの強化
ホームページの運営・更新作業はどうしても本業の「ついで」になりがち、ホームページの運営も「通常業務」の一環として人員とミーティング時間の確保が必要不可欠です。中心となるべきは当然その会社のキーパーソンが行うのが理想です。キーパーソンとは言うまでもなく、会社の業務を一通り把握しており、自社の強みや弱みを把握して、今ある課題、そして中長期的なビジョンを語れる人です。一般的に中小零細企業では社長がキーパーソンですが、社長が難しい場合は社内である程度の決裁権限を持つ営業部長や店長といったポストの人になりますが、もし社長がここに入らないのであれば無用な口出しは極力避けるべきです。
せっかく店長やスタッフと意見を出し合い、こういうふうにしようと決めても後から社長の一喝ですべて無効になってしまうのであればホームページの運営者としてモチベーションを維持できません。もしどうしても鶴の一声を入れずにはいられないタチの社長さんの場合は初めからそのミーティングに参加すべきです。せっかく意見をまとめ、こういうふうにしますと、企画書を提出しても社長のダメの一言で台無しにされるのであれば携わったスタッフは徒労感しか残りません。
もちろん、企画書に目を通したうえで社長の経験則を加味してプラスアルファ、マイナスアルファでここにこれを足そう、或いはこれは無くして別のこれを入れようと意見するのは構いません。
総括として
はじめてホームページを作ろうとお考えの方にはそこまでしなくてはダメなのかと少しショッキングな内容に思われたかと思いますが、今の時代、ホームページは「あって当然のもの」です。創業したての企業は別にして1年以上企業を経営していらっしゃるところでホームページがないという企業は地域や業種業態によっても異なりますが、それでも恐らく全体の10%未満ではないかと思われます。そのぐらいホームページは世の中に浸透しており、社名を検索してホームページがないと今では不信感抱くことすらあります。
そういったなかで皆売上を伸ばそうとシノギを削っているのです。
職業柄、多くの企業や店舗のホームページ制作に関わっておりますが、残念ながらうまくいかない企業さんも少なくありません。厳しい言い方をするとそういう会社の社長の大半はホームページなど人ごとなのです。「じゃあそちらで文章を適当に書いてよ」などと言われます。正直、これにはムッとします。商売をしようとしているのに適当に文章を書いてよとは何ぞやと。どんなにネットや書籍でリサーチをしたところで我々はホームページ制作のプロであり、その企業のプロではありません。だから、通り一遍のありきたりな文章しか書けません。プロの目から見た現場での出来事やよもやま話など知りようがないのです。
社長の中にはとにかく文章を書くことが苦手な方がおられます。元々、職人から入った人にはこの傾向が強く見られます。
でも、ホームページを通して商品の購入を考えている人からすると、社長の文章が苦手かどうかなんて知ったことじゃないのです。特に建設関係の仕事であると、工事の料金は最低でも数十万円、下手すると数百万円、数千万円ということも珍しくありません。消費者の側からすると、数十万円、数百万円という金額はとてつもない大金です。言うまでもなく失敗は許されない支出です。だからこそ慎重に業者を選定します。その場合に果たしてスカスカの「適当」に文章が書かれたホームページの会社に依頼をしますかってことです。知り合いの紹介であれば別ですが、単なるネット検索の場合、かなりの高確率でそこの会社には依頼をしないと思われます。
結局なにが言いたいのかというと、どうしても自分で文章を書くのが苦手であるのであれば社内にそういうチーム(部署)を作る必要があるということです。その際も再三申しているようにパートの事務員さん一人に押し付けるのではなく、社内で意見を出しあえる風通しの良い環境を作ることが大切です。
ホームページでの集客とはひとえに丁寧なコンテンツ作りに集約されます。コンテンツ作りはパートの事務員さん一人が頑張ったからと言って一朝一夕にできるものではありません。ホームページによる集客を成功させたいと思うのであれば皆で協力し合って今あるホームページを少しでもよくしようという目的を共有する必要があります。面倒な画像処理やレイアウトの調整などの作業はリアライズが行いますのでそこはご安心ください、そういう技術的なことではなく、本当に大切なのは社内全体が一丸となって、いいホームページを作り上げようという共通の目的を持つことだと思います。