コロナ禍時代のWEBマーケティング戦略
ウィズコロナ時代のWEBマーケティング戦略を真剣に考える
2020年以降、新型コロナウイルスが世界中でまん延して以降、社会の流れを大きく変えてしまったのは今更言うまでもありませんが、当然、この流れはビジネスにも大きな変化をもたらし、本来ならばもう少し先に訪れるはずであったテレワークを主体とした遠隔型の勤務形態や商談も今ではごく当たり前になりました。
実際、ウィズコロナ時代だからこそ、業績を伸ばしている企業・店舗も少なくありません。対して、ウィズコロナ時代に対応しきれず、疲弊している中小零細企業・個人事業主も少なくありません。弊社は制作会社ですので、ここで今一度原点に立ち返ってウィズコロナ時代のWEBマーケティング戦略を考えてみたいと思います。
コロナ禍でとにかく多かったご相談
- コロナの影響で売上が落ちてしまった。
- ECサイトを作って通販に業務を転化したい。
- テイクアウトを始めたのだがまったく注文が入らない。
- SNSをやり始めたけどフォロワーが増えず受注に繋がらない。
一旦落ち着いて考えてみましょう
人間だれしもが逆境に陥ると大なり小なりパニックになり、視野が著しく狭くなりがちですが、現状を正確に分析して、なにが足りていて、なにが足りないのかをよく改めて考えてみる必要があります。もちろんこれは経営者自身だけでなく、社内で情報を共有して、老若男女問わず忌憚なき率直な意見を出してもらうことが大切です。
2021年はコロナ禍で売上が半減したため、ネットショップを作ってその減った分の売上の穴埋めをしたいという飲食店や日用雑貨品店ま相談が本当に多かったです。実際、クライアントが補助金や助成金を受けられるからという理由で制作に携わった案件もありましたが、そういった資金的な補助が売れられない場合はこちらとしても慎重になり、果たしてこの計画はうまくいくだろうかということから出発しました。誰も経験したことのない未曾有の事態ですので、慌ててしまう気持ちもよく分かりますが、慌ててなにかしようという前にまずは出来ることはなにかと冷静に考えて欲しいと思います。
例えば、フォロワーが全国的にいるお洒落な洋菓子販売店が新たにネット販売をしようと思った場合、これは得てして成功します。うまくいけばテレビ番組(地方放送局を含む)などの取材もあるかもしれません。場合によっては注文が殺到して嬉しい悲鳴なんてことも十分考えられます。
しかしながら、果たして自社の商品がそういったケースに当てはまるのかというのは客観的に検討してみる必要があります。ネットショップで購入してまで取り寄せてみたい商品か否か、誰しも自社商品に自信はあると思いますが、厳しい言い方をすると、その自社商品の自信はあって当然のスタートラインでしかありません。そこからスタートダッシュが決まるかどうかは消費者側の判断でもあります。特に市販品を販売している場合、既にAmazonや楽天にいくらでも商品が掲載されています。また、本来メーカー側の販売価格の設定は独占禁止法により禁止されていますが実態は値引きをして販売している会社も少なくありません。直接の値引きが出来ない場合でも送料を無料にしたり、なにか別のプレゼントをつけたりして他社と差別化を図っています。そういった市場に飛び込んで果たして体力は持つのかどうかということも改めて検討してみることも大切です。
結果的に売上を上げるということが目的であればホームページの制作会社が言うのもどうかと思いますが、あえてネットを捨てるというのも一法です。地域に密着した営業を心掛けているのであればチラシのポスティングが有効だったりします。事実、大手のピザ店などは未だにチラシポスティングによる集客がメインだったりします。また、普段から顧客リスト作りをしている美容室や理容店などは失客してしまった方を中心に何か特典を付けたダイレクトメールを送付することも戦略の一つです。
結局、インターネットが良いからという漠然とした情報ではなく、今の自分のお店や会社に対して、なにが必要でなにが不必要かということを検討してみることが大事です。
ある飲食店の事例
店舗情報 | お客様の情報 | 計画と現状 |
・先代である父親から続いた飲食店 ・地域密着型 ・コロナ前は繁盛していた ・緊急事態宣言が発令されるたびに客足が減少 |
・地元の方が殆ど ・食べログやぐるなび、グーグルマップの口コミなどは気にしない ・年齢層は高め、40代以上の男性客中心 |
・ネットショップを作って日持ちする総菜や調味料などを販売したい ・SNSが良いらしいのでSNSで集客したい ・テイクアウトや宅配弁当も検討 |
・地元では割りと有名だが、あくまでも町内レベルで有名であり、10kmも離れると殆どの方は知らないし、わざわざ食べにも来ない ・ホームページはないが、食べログになぜか勝手に掲載されている ・SNSはやっていない |
・常連客が中心、時折、近隣で道路工事などがあると職人さんたちが食べに来るがその後は工事が終わるとぱったり来なくなる。 ・SNSを使っていない方が大半 ・年に何回か食べログを見たという人が来るが常連にはならなず、それっきり |
・食品製造関係の許可取得はおろか、許可が必要なことも知らない ・商品開発はこれから ・通販事業未経験 ・SNSは息子がラインをやっているぐらいでスタッフ全員がよく分からない |
相談者は茨城県内某市で飲食店を経営しているご夫婦です。定食類が人気で夜はお酒を飲むお客様も多いとのこと。先代の父親から引き継ぎ、営業は30年以上。高齢者が多い地域でしたが、近隣に大規模な工場もあり、週に何度か会社帰りに立ち寄る方も多く、依頼があれば地域の会合などに仕出し弁当を配達するなど、安定した経営をしていました。
ところが、ご多分に漏れず、そこにコロナが襲い掛かりました。最初の緊急事態宣言の後から客足がパタリと止まり、一日お店を開けていもお客の数は一桁ということも少なくありません、幸い県からの時短営業による協力金が得られたこともあり、金銭的なダメージはあまりありませんでしたが、問題は緊急事態宣言が明けても客足は戻らず、協力金で得たお金もこのままいけば近いうちに無くなってしまう危機感を覚えています。
そこで穴埋めとしてネットショップを作り、そこで商品を販売しようかということになり、弊社にご相談を受けました。
ヒアリングは上記の表の通りですが、そもそもご夫婦はSNSがなにかということが分かっていない状態です。パソコンは触ったこともなく、スマートフォンは一応持っているが使い方もあまり分からず、殆ど電話としてだけ機能しているという状況です。
果てしてそのような方がこれからネット販売をしてうまくいくのだろうかという率直な疑問が涌きます。しかも、聞いてみると食品製造の許可があること自体も分かっておらず、さすがにネット販売は敷居が高いと思いました。
常連のお客様へのヒアリング
常連客数名にヒアリングをしてもらったところ、なんと、「閉店したと思っていた」という衝撃の回答が出てきました。この定食屋さんは確かに緊急事態宣言後、店主の体調不良により、2週間ほどお休みをしていたことがありました。また、客足を見て、早仕舞いや休業にしてしまった日もあったといいます。高齢者が多い地域だったため外出外食を控える人も多く、たまたま店の前を通っても閉まっているのできっとお店を辞めてしまったんだなと思ったようです。
そもそもホームページがないのでホームページに休業の情報を載せることすらも出来ず、勝手にグーグルマイビジネスの口コミに「閉店してしまったみたい」とコメントが寄せられ、店舗側ではまったく知らないのになんとマイビジネスには「閉業」と赤文字で記載されています。
緊急事態宣言以降、実際に閉店するお店が相次いだため、こちらの店舗も同じようにお店を閉めてしまったと取られてしまったようです。
いずれにせよ、核となる店舗の運営がままならない状態でネット販売するというのはさすがに無理があります。常連の方の話を聞いてみると店舗に来るのはやはりコロナが怖いため、なかなか気が重いがお弁当を配達してくれるのであれば是非利用したいという方が複数名いらっしゃいました。もちろん元々味には自信のある定食屋さんであるというのが大きいのは言うまでもありません。
そこでECサイトの制作は中止をして、まずは店舗のホームページを作り、正確な情報を近隣の方にお伝えすることに方向転換をいたしました。ホームページには店休日を必ず掲載し、消毒や換気など衛生管理を徹底していることを前面に打ち出しました。詳細は省きますがグーグルマイビジネスの閉業をグーグルに申請して営業に直しました。また、同時にチラシを制作してポスティングをすることを決定いたしました。紙媒体は意味がないと仰る広告代理店の方もおられますが地方ではチラシのポスティングが未だに集客の主要ツールであることが少なくありません。すぐに効果がなくても、チラシを見た方が「なんだやめたわけじゃなかったのか」と思ってくれればそれだけでも意味があると思います。
幸い、こちらの地域はポスティング業者が対応の地域でした。合配という複数のチラシと同時に投入する形式でありますが1枚3.5円でポスティングを請け負ってもらえます。また、チラシの印刷ですが、今ではプリントパックや東京カラー印刷など20年前では考えられないほど安価で印刷が可能です。チラシの枚数、印刷の期間によっても値段は異なりますが両面4色(フルカラー)印刷が3000部が5000円ほどで可能です。版下の作成料とポスティング料金を併せても3万円でお釣りがくるほどです(1000世帯に撒くと仮定)。版下の作成料は初回だけですから次回以降は1万円でチラシの配布が可能です。
ネットは決して万能ではないので自社にあった施策を考えよう
答えが分かってしまえばSNSだ、ネット販売だと騒いでいたことが滑稽に思えるかもしれません。しかし、いざ、その場面に遭遇すると人間だれしもが慌ててしまいます。ましてや家族の生活や従業員の生活を考えたらいったいどうしようかと暗澹たる気持ちになるのは当然だと思います。
しかし、落ち着いて冷静に考えてみると意外に答えは見つかるものです。この定食屋さんのケースであっても市と県の助成金と補助金が遣えたため、費用は存外掛からずに済みました。実際にこちらの店主さんが支払った費用はトータルで10万円もいってません。要は自社(自店)の現状を客観的に分析して問題点をあぶり出し、そのうえでなにをどう対応すべきかということを考えてみるべきです。広告代理店によっては自社の売上を上げたいがばっかりにあまりにも非現実的な方策ばかりを提示してくるかもしれません。
でも、果たしてそれが本当に自分たちで出来るのか、はたまた、その費用を投じることがリターンを考えたときに適正なのかということは考えるべきです。
さて、ここまで書いておきながらなんですが、こちらはすべてフィクションです(笑)。決して読まれた方を騙そうとかそういう意図でコンテンツを作ったのではありません。恐らく現実的にこういう場面は茨城県のみならず、日本全国津々浦々で起きているのだろうということを思索しながら書いてみました。
リアライズでは地域密着型の営業を心掛けているため、地域の皆様がいかに安定した売上を伸ばせるかを日々考えています。売上を伸ばすのが目的であればインターネットにこだわる必要がないというのが弊社の考えです。ですので、店頭ののぼり旗や看板、店舗利用者に渡すノベルティグッズの方がネットよりも効力を発揮しそうであれば積極的にそちらを勧めます。
一緒になってコロナ禍を乗り切りたいと思っています
やまない雨はない、明けない夜はないといいます、確かに裏を返すとそれは雨は必ず降るものだし、夜も毎日訪れるものということでもあります。戦争を除けば間違いなく今は未曽有の危機的な状況です。しかしながら人は経済と切り離して生活は出来ません。
もちろんすべての業種がそうだとは言えませんが、それでも殆どの業種は何かしらの打開策ってあるものだと思っています。その打開策は案外些細なものかもしれません。ともにお客様とこの危機を乗り越えられたらと思います。コロナによって売上が下がり、なにかいい方法はないかとお悩みの方は是非一度リアライズにご相談ください。既存ホームページの見直しから効率的な店舗運営まで喜んでご相談に乗ります、まずはお気軽にお問い合わせください。